史上最大級のIPOラッシュが始まろうとしている

2026年は、テクノロジー史上に残る「上場ラッシュの年」になるかもしれない。OpenAI、Anthropic、SpaceX、Stripe──いずれも評価額が数兆円を超える巨大スタートアップが、同じ時期にIPOを視野に入れている。これだけの超大型ユニコーンが同時期に公開市場に出てくるのは前例がなく、個人投資家にとっては夢のような話に聞こえる。だが現実は、そう単純ではない。

各社の現状と「上場の本音」

OpenAIはGoldman SachsとのS-1提出準備を進めているとされ、評価額は1兆ドルを超えるとも言われる。一方で同社の年間損失は約14兆円規模に達しており、「成長に賭ける上場」という色彩が強い。Anthropicは2026年4月に企業向けAI市場でOpenAIのシェアを逆転し、年間収益は300億ドルを超えたと報告されている。収益体質はOpenAIより健全だが、GoogleとAmazonという大株主が存在するため、上場構造は複雑だ。

SpaceXはイーロン・マスクが「IPOしない」と繰り返し発言してきたが、機関投資家の圧力と政府契約の拡大が上場を現実的な選択肢に押し上げている。Stripeは2021年に上場を延期して以来、依然として非上場のまま年間収益100億ドルを超えるビジネスを展開しており、こちらも近い将来のIPOが有力視されている。(VentureBeat

個人投資家が直面する「参加できない現実」

問題は、これらの企業のIPOに日本の個人投資家が実際に参加できるかどうかだ。米国株のIPOは原則として米国証券会社を通じた申し込みが必要で、SBI証券や楽天証券などの一般的な証券口座では、公募価格での購入はほぼ不可能に近い。たとえ申し込みができたとしても、人気IPOの配分は機関投資家が優先され、個人には「初日の急騰後に市場で買う」という選択肢しか残らないことが多い。

しかも上場初日に「割安で買えた」IPOは、近年では例外的な部類に入る。多くの場合、機関投資家の需要で初値は公募価格の2〜3倍まで跳ね上がり、その後に急落するパターンが繰り返されてきた。

「IPOバブル」の歴史が示すリスク

2020〜2021年のSPACブームを覚えているだろうか。テクノロジー系の「話題企業」が次々と上場し、個人投資家が熱狂した時期だ。しかし多くの企業は上場後に急落し、数年後に評価額が10分の1以下になった事例も珍しくない。IPOラッシュが盛り上がるほど、「上場そのもの」が目的化し、実態から評価が乖離するリスクが高まる。

OpenAIのように14兆円規模の年間損失でも1兆ドル評価を目指すというのは、「将来の期待値だけで値段がついている」ことを意味する。成長が計画通りに進まなければ、株価の下落幅も歴史的なものになりかねない。(GagaGadget

個人投資家にとっての現実的な選択肢

日本の個人投資家がこのIPOラッシュに乗るための最も現実的な方法は、直接株を買うことではなく、関連する上場企業への投資だ。NVIDIAやMicrosoft(OpenAIの最大出資者)、Google(Anthropicの出資者)、Amazon(Anthropicへの40億ドル投資)などは、すでに通常の株式として購入できる。AIバブルの熱狂に踊る前に、関連企業を通じた「間接参加」という選択肢を冷静に検討する価値がある。IPOラッシュの主役は個人投資家ではなく、機関投資家と早期投資家だ。

参照ソース

Anthropic finally beat OpenAI in business AI adoption – VentureBeat
Anthropic surpasses OpenAI in annual revenue – GagaGadget

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