テレワーク後退が「郊外回帰ブーム」を逆転させた
2020年代前半、コロナ禍の在宅勤務によって「郊外移住ブーム」が起きた。東京から1〜2時間圏内の神奈川・埼玉・千葉、あるいは地方中核都市への転居が注目を集め、一時は「都心回帰は終わった」とも言われた。しかし2025年以降、潮目が変わった。オフィス出社率の回復とともに都心アクセス需要が再び高まり、「通勤できる圏内かどうか」が住まい選びの最重要基準に返り咲いた。
「近い郊外」と「遠い郊外」が完全に二極化
重要なのは、郊外全体が再評価されたわけではないことだ。都心から電車30〜45分圏の「近い郊外」──武蔵小杉・三鷹・吉祥寺・浦和・船橋など──は価格が上昇し始めている。一方で、1時間超の「遠い郊外」は人口減少と不動産価格の軟化が続く。この二極化は、2026年の金利上昇とあいまってより鮮明になっている。
住宅ローン金利が約1.5%まで上昇した2026年時点で、借入金額を少し抑えながら「職場に通える距離」を確保したい層は、3000〜5000万円台で購入できる近郊マンションに集中している。都心3区の平均マンション価格が1.5億円を超えた今、これは必然の流れだ。
ハイブリッド勤務層が「中間圏」を選ぶ
もう一つの要因が、IT・AI企業勤務者の勤務形態の変化だ。フルリモートからハイブリッド勤務(週2〜3日出社)へと移行するケースが増え、「月に数回は都心に行ける距離」という基準が浮上している。完全テレワーク時代に地方へ出た層が「都心から60〜90分圏」に戻り直す動きも見え始めており、その受け皿として都心から30〜60分の駅近マンションが選ばれやすくなっている。
2026年、「近郊マンション」を選ぶ際の判断軸
断言すれば、都心3区の価格は外資と高額所得者が今後も下支えする。しかし「実需」の中心は明らかに近郊へ移りつつある。金利が上昇局面にある今、物件価格と返済可能額をシビアに計算した上で選ぶべき物件の条件はシンプルだ。新耐震基準(2000年以降)であること、最寄り駅から徒歩10分以内であること、そして勤め先まで1時間以内という通勤可能圏に収まること。この条件を守れば、近郊マンションは都心タワマンバブルに乗れない層にとって依然として堅実な実需物件だ。金利上昇を「買い時の終わり」と捉えるか「価格調整の入口」と捉えるかで、2026年の不動産判断は大きく分かれる。





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