Libraの屍を越えて4年後の再挑戦

2022年、Metaは野心的な暗号通貨プロジェクト「Libra(後にDiem)」を静かに葬った。規制当局からの猛烈な圧力と米議会の反対に屈した形だった。あれから4年、2026年4月29日にMetaはステーブルコイン決済を密かに再開した。今度は戦略を根本から変えて。

今回は「自社コイン」を作らない

Libraとの決定的な違いは、Metaが独自のステーブルコインを発行しないことだ。代わりに選んだのは、Circle社が発行する既存のUSDCをSolanaとPolygonのブロックチェーン上で利用する方式。決済処理はStripeと連携し、税務レポートも含めた実務的な設計を優先した。コロンビアとフィリピンのクリエイターに対してUSDCでの報酬支払いを開始しており、「最も関連性の高い決済手段を提供することを目指している」とMetaは述べている。(Fortune、26/04/29)

なぜ今のタイミングで動いたのか

背景には規制環境の変化がある。米国では暗号通貨に対する規制の枠組みが2025〜2026年にかけて整備されつつあり、ステーブルコイン法案も議会を通過しやすい状況になってきた。また米SECの委員長が「AIシステムの台頭とブロックチェーン型市場インフラへの需要増加」を結びつける発言をするなど、金融当局の姿勢も変化している。

Metaにとってもう一つの動機は、グローバル展開だ。銀行口座を持たない層が多い新興国のクリエイターへの支払いを円滑にすることで、Metaのプラットフォームへの囲い込みが強まる。「160以上の市場への展開を計画している」と同社は述べており、Libraで目指した「誰でも使える金融インフラ」という構想を、別の形で着実に実現しようとしていることが見える。(CoinDesk、26/04/29)

次の一手はどこか

現状はクリエイターへの報酬支払いに限定されているが、広告主への決済や一般ユーザー向けの拡張へ向けた布石とも読める。Libraが規制に潰された教訓を活かし、今回は「小さく、既存の仕組みに乗る」形で足場を固めている。Metaが持つ約30億人のユーザーベースにステーブルコイン決済が浸透すれば、その影響力は計り知れない。失敗から学んだMetaの「静かな再挑戦」は、今後の金融とテックの融合を語るうえで外せない動きになりそうだ。

参照ソース(噂の出どころ)

Meta quietly rolls out stablecoin payments four years after shelving controversial Libra project(Fortune)
Meta starts stablecoin payout to creators in Circle’s USDC(CoinDesk)
Meta Begins Offering Stablecoin Payments to Creators(PYMNTS)

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