「ビットコインは絶対に売らない」──そう公言し続けてきたStrategy(旧MicroStrategy)のマイケル・セイラー氏が、2026年5月5日の決算説明会でその姿勢を大きく転換させた。配当の支払いのためにビットコインを売却する可能性を示唆したのだ。暗号資産市場に衝撃が走ったのは言うまでもない。

125億ドルの純損失が引き起こした方針転換

Strategyは2026年第1四半期に125.4億ドルの純損失を計上した。その大半は、2025年から採用が義務付けられたGAAP会計規則に基づくビットコインの時価評価損だ。含み損が膨らむ中、同社が発行してきた複数の優先株式には配当支払いという契約上の義務がある。株主への約束を履行するためには、いつかBTCを換金せざるを得ない状況が生まれつつある。HODLの旗手として市場の信認を集めてきたStrategyが、「永久保有」を撤回したことの意味は数字以上に大きい。(Bloomberg, 26/05/06)

セイラー氏が語った「不動産開発者」という比喩

決算説明会でセイラー氏は、Strategyを「不動産開発者」に例えた。土地(ビットコイン)を信用で仕入れ、価値が上がったところで売って配当を捻出し、またビットコインを買い戻す──このサイクルが機能する限り事業は成立するという論理だ。これは「買い続けるだけ」から「売買のサイクルを回す」への質的な変化を意味する。HODLの純粋な象徴としてのStrategyのイメージは変わらざるを得ない。(CNBC, 26/05/05)

市場への波及──818,334 BTCが動く可能性

Strategyが保有するのは818,334 BTCで、第1四半期末時点での総取得コストは約618億ドルに上る。一部でも市場に放出されれば価格への下押し圧力は無視できない規模だ。実際、発表を受けてビットコインは下落し、5月時点では約1,200万円台で推移している。長期強気派は「売却は限定的」と楽観的な見方をするが、「絶対売らなかった企業がついに売る」という心理的なインパクトは、機関投資家の戦略にも少なくない影響を与えそうだ。

ビットコインの最大の「買い手広告塔」が変化した事実は、暗号資産市場の新たな局面の始まりを告げている。

参照ソース(噂の出どころ)

米ストラテジー幹部、ビットコイン売却に転換示唆-資本戦略見直し(Bloomberg, 26/05/06)
Strategy breaks from ‘never sell’ Bitcoin approach(CNBC, 26/05/05)

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