2026年に入って、PCゲーマーたちを直撃する異変が起きている。RTX 5070 Tiや5060 Ti 16GBといった「コスパの良いGPU」が店頭から消え、残っているのは極端に高いフラッグシップか、VRAMが少ない下位モデルだけという状況だ。なぜこうなったのか。その答えはゲーム業界ではなく、AIデータセンターの爆発的な拡大にある。

「revenue per gigabyte」――NVIDIAが密かに変えた優先順位

GigabyteのCEOはNVIDIAの戦略を端的に「revenue per gigabyte(1GBあたりの収益)」と表現した。同じGDDR7メモリを使うなら、$400前後のGPUより$1,000以上のフラッグシップや、さらに高価なAI向けGPUに搭載する方が収益が上がる。この論理の下、NVIDIAはメモリ割り当ての優先順位を静かに変えた。

Tom’s Guide(26/01/22)が伝えたリーカーの情報によると、「NVIDIAは実質的にAI販売の過剰受注を行っており、少なくともQ3 2026まではほぼすべてのRTX 50シリーズの生産を停止する必要がある」という。具体的には、RTX 5090・5070 Ti・5060 Ti 16GB・5060の供給が事実上停止し、5080・5070・5060 Ti 8GBは「非常に少量」の流通にとどまるとされた。

NVIDIAはこれを認めず「すべてのGeForce SKUの出荷を継続し、サプライヤーと協力してメモリの供給を最大化する」とコメントしているが、市場の現実はリーク情報を裏付けている。

GDDR7不足の構造的な問題

OC3D(25/12/17)がBenchlifeの情報として伝えたところによると、NVIDIAは2026年上半期のRTX 50シリーズ生産を2025年上半期比で30〜40%削減する計画を立てていた。特に標的になったのがRTX 5060 Ti 16GBとRTX 5070 Tiで、これらのGDDR7メモリがより利益率の高い5080に流用されているとみられる。

そしてこのメモリ不足を作っているのは、AI産業の爆食いだ。ChatGPTやGeminiを動かすためのGPU(H100、B200など)はゲーム用チップとは別だが、そこで使われるHBMやGDDR7の製造ラインを奪い合うことで、ゲーミングGPU向けのメモリ供給が圧迫されている。同じWaferを取り合う構造的な競合だ。

ゲーマーが直面する現実

価格も急騰した。Tom’s Hardwareによると、RTX 5080はわずか3ヶ月で最大35%値上がりし、RTX 5090は79%もの価格急騰を記録した。「$1,000でRTX 5080が買えた2025年11月、今同じ金額で買えるのはRTX 5070 Ti」という状況だ。

AMD陣営も無傷ではない。RADEONブランドのGPUも同じGDDR6/GDDR7を使うため、価格上昇の波は共有している。ただしNVIDIAほどAI向け製品へのメモリ集中が激しくないため、相対的には入手しやすい場面もある。AMDのPC Gamer(25/12/17)のRX 9070 XTが「現在最もコスパの良い選択肢」と位置付けられている背景には、こうした構造がある。

次世代「RTX 60シリーズ」はいつ来るのか

さらに追い打ちをかけるニュースもある。複数のリポートが「NVIDIAは2026年中に新たなゲーミングGPUをリリースしない」と伝えており、RTX 60シリーズの登場は2027年以降、場合によっては2028年にずれ込む可能性が出てきた。AI向けBlackwellアーキテクチャの次世代「Rubin」開発にリソースが集中しているためだという。ゲーマーにとってはしばらく不遇の時代が続く見通しだ。

参照ソース(噂の出どころ)

Nvidia RTX 50-series GPU production reportedly ‘paused’(Tom’s Guide、26/01/22)
Nvidia plans heavy cuts to GPU supply in early 2026(OC3D、25/12/17)
Nvidia is reportedly looking to cut gaming GPU production by up to 40%(PC Gamer、25/12/17)
Nvidia says all RTX 50-series GPUs will ‘continue to ship’(Tom’s Guide、26/01/17)

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