AMDの次世代GPU「Radeon RX 9070 XT」と「RX 9070」の仕様が正式に確定し、2026年3月の発売が迫っている。RX 9070 XTは599ドル、RX 9070は549ドルという価格設定で、NVIDIAのRTX 5070 Ti(749ドル)およびRTX 5070(549ドル)に真っ向から対抗する(Gamers Nexus)。わずか50ドルの価格差は、過去のRX 7900 XTとRX 7900 XTXの関係を彷彿とさせ、互いに市場を食い合う可能性が指摘されている。
AMDは今世代、ハイエンド市場から撤退し、ミドルレンジに注力する戦略を明確にした。RDNA 4アーキテクチャは、レイトレーシング性能とAI処理の大幅な強化に焦点を当てており、ラスタライズ性能を犠牲にすることなく世代間の改善を実現している(Tom’s Hardware 26/03/05)。
RDNA 4の心臓部――Navi 48 GPU
RX 9070シリーズは、両モデルともNavi 48 GPUを搭載する。このチップはTSMCの4nmプロセスで製造され、ダイサイズは356.5mm²、トランジスタ数は最大539億個となる(Gamers Nexus)。AMDはチップレット設計ではなくモノリシックシリコンを採用しており、この点は従来のアプローチを踏襲している。
RX 9070 XTはフル構成の64コンピュートユニット(CU)を搭載し、4,096ストリームプロセッサー、64レイアクセラレーター、128 AIアクセラレーターを実装する(VideoCardz 26/02/26)。ゲームクロックは2,400MHz、ブーストクロックは最大2,970MHzに達し、単精度演算性能は48.7TFLOPSとなる。
一方、RX 9070は56 CUに削減され、3,584ストリームプロセッサー、56レイアクセラレーター、112 AIコアを搭載する。クロック速度も控えめで、ゲームクロック2,070MHz、ブーストクロック2,540MHzとなっている(VideoCardz 26/02/26)。
メモリ構成と電力効率
両モデルとも16GBのGDDR6メモリを256bitバスで搭載し、メモリ速度は20Gbpsとなる。これによりメモリ帯域幅は640GB/sとなり、RX 7900シリーズと比較すると帯域幅は減少している。しかし、8MBのL2キャッシュと64MBのInfinity Cacheを組み合わせることで、実効的なメモリ性能を確保している(Gamers Nexus)。
消費電力は、RX 9070 XTがTBP 304W、RX 9070が220Wとなっている(VideoCardz 26/02/26)。XTモデルの304Wという数値は、当初噂されていた260Wより高いものの、NVIDIAのRTX 5070 Ti(300W)とほぼ同等だ。両モデルともPCIe 5.0 x16に対応するが、実際のゲーム性能への影響はほぼないと見られている。
性能面での立ち位置――RTX 5070 Tiとの競合
実機レビューによれば、RX 9070 XTのゲーム性能はタイトルによって大きく異なる。1440pでは、多くのゲームでRTX 5070 Tiに5〜10%遅れを取るものの、Space Marine 2のような一部タイトルでは17%も上回る結果を示している(TechSpot 26/03/05)。4Kでは、同じくSpace Marine 2で36%もRTX 5070 Tiを上回る一方、他の多くのタイトルでは5〜11%の遅れが見られる。
前世代のRX 7900 XTとの比較では、コア数が24%少なく、ダイサイズが33%小さく、メモリ帯域幅が20%低いにもかかわらず、同等かそれ以上の性能を発揮している点は評価できる(TechSpot 26/03/05)。これはRDNA 4アーキテクチャの効率性を示す結果と言えるだろう。
レイトレーシング性能の飛躍的向上
AMDが特に強調しているのは、レイトレーシング性能の大幅な改善だ。RX 9070 XTは、レイ交差率を2倍にし、レイトラバーサルを改善したほか、BVHプローブ用のバウンディングボックスの処理方法を変更している(Gamers Nexus)。
実測では、RX 7900 XTと比較してレイトレーシングワークロードで30〜50%の性能向上が見られるタイトルもある。ただし、NVIDIAのRTX 50シリーズと比較すると、依然としてレイトレーシング性能では劣る場面が多い。
供給不安と価格上昇のリスク
最大の懸念は、市場での実売価格と供給状況だ。RTX 5070 Ti、RTX 5080、RTX 5090はいずれも発売直後に売り切れ、MSRPより50%以上高い価格で取引されている(Tom’s Hardware 26/03/05)。Intel Arc B580の事例が示すように、低価格帯のカードでさえ供給と需要の問題から免れることはできない。
AMDのAICパートナーは2〜3ヶ月前からカードを備蓄していると報じられているが、実際の供給量は不明だ。ASRockはTaichi White 16GB OCモデルを含む複数のバリエーションを発表しており、3,100MHzまでのブーストクロックを実現している(VideoCardz 26/01上旬)。XFXは9モデルの準備を進めているとの報道もある。
RX 9070シリーズが、GPUの深刻な供給不足問題を解決する特効薬になるとは考えにくい。しかし、599ドルという価格設定が維持され、十分な供給が確保されれば、RTX 5070 Tiの強力な対抗馬となる可能性は十分にある。
参照ソース
AMD RX 9070 & 9070 XT GPU Prices, Specs, & Release Date | Gamers Nexus
AMD Radeon RX 9070 XT and RX 9070 review: Excellent value, if supply is good | Tom’s Hardware
Final specifications of AMD Radeon RX 9070 XT and RX 9070 GPUs leaked – VideoCardz
AMD Radeon RX 9070 XT Review | TechSpot
ASRock Taichi Radeon RX 9070 XT White with built-in LCD will launch at CES 2026 – VideoCardz





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